Le Monde斜読み。

2012年11月8日付け「リベラシオン紙」(日本評)。

「リベラシオン」というフランスの日刊紙があります。左派ですが、有名な「ル・モンド」ほど堅苦しくなく、1968年世代が作った新聞という性格もあって、比較的若い読者が多いようです。 「ル・モンド」では日本の文化情報が結構掲載されるのですが、リベラシ…

アレクサンドリアのテロリスト。

明けましておめでとうございます。「ル・モンド」で一番好きなが、大体最終ページにのっているRobert Sole署名の「Billet」というコラムです。 軽妙でいて洒脱かつ味わい深い一文が乗っています。日本でいえば朝日に「天声人語」みたいなものですが、趣きと…

職場結婚?

サルコジ大統領による組閣から2夜明けました。昨日は大統領による共同TVインタビューがあり、ジャーナリストから色々と突っ込まれていました。3月から内閣改造をすると宣言しておきながら、首相も変えず、結局大きなサプライズも入れ替えもなかったのは、支…

年金はまだ先のこと?

9月のバカンス明けから、世はデモとストライキの連続である。老齢人口の増加で年金財政は破綻寸前ということで、今まで時の政府にとって鬼門だった定年制の改革にサルコジ政権が乗り出したからだ。改革案の骨子は、現在の定年60歳(満額給付開始年齢、実際の…

小さな国の長い物語。

最近、欧州関連ニュースをにぎわせたのは、スイスでのミナレット(イスラム教寺院の塔)建設の可否をめぐる国民投票(57.5%で禁止案が可決)だったが、もっと地味だが欧州の歴史を感じさせてくれるニュースもあった。11月25日に逝去したのは、セボルガ公国…

俳句を愛する「大統領」

旧聞だがEUの初代「大統領」にヘルマン・ファンロイパイ(Herman Van Rompuy)が就いた。下馬評で名前が取りざたされていた英ブレア元首相を退けて、有力国首脳の支持を取り付けた。日本のメディアでは、日経新聞などを除けば「なぜ無名なベルギーの首相が?…

憲法の「輸出」。

フランスのル・ポワン紙によると、韓国政府が仏の元文化相、ジャック・ラングに憲法改正についての意見を求めて、同国に招待したらしい。李明博大統領との会談と議会演説も予定されている。 http://www.lepoint.fr/actualites-politique/2009-07-13/changeme…

欧州議会選挙@フランス。

もう赤毛じゃない?!6月7日に開票されたEU27加盟国による欧州議会選挙は、全体として中道右派勢力の続伸がトレンドとなった。社民で議席数を伸ばしたのはノルウェーやギリシャなど、僅かな国でしかない。 それ以上に今回の選挙での大きな特徴は、歴史的な低…

ロマンスグレーの政治学者。

来週カフェ・ド・フロールで朝デートの約束をしたロマンスグレーの政治学者Pascal Perrineau氏。 行きがかり上、パリ政治学院のCEVIPOF(フランス政治研究センター)の研究者と付き合うことが多いのだが、実はこのCEVIPOFが内紛に見舞われているという。ちら…

「赤本」2009年版。

フランスでは「ミシュランガイド」の100周年記念版が発売中。このブログではこの「赤本」について引き続きしつこく言及していきます(笑)。サルコジ大統領がユネスコの無形世界遺産にすべきだと主張するまでになったこの「フランス料理」。 3月2日付けのル…

牡蠣の絶滅。

漁業規制があってクロマグロがもうすぐ口に入れられなくなるというのは随分と知れ渡ることになったが、今度はフランスの代表的な牡蠣<Claires>が危機にあるという。牡蠣が食べられるようになるには3年かかるそうだが、08年夏に蔓延した原因不明の病気に新…

<新たな>ヨーロッパ左翼。

英フィナンシャル・タイムズ紙09年1月6日付けで、「ヨーロッパの左翼を再生する(reinventing the european left)」という社説は掲載されている。 曰く、欧州左派は、まず中道化の圧力にさらされる一方で、社会の「アウトサイダー」をサルコジやベルルスコ…

大統領もみんなと同じように。

この秋、フランスでちょっとした話題になった「サルコジ人形」。 箱の中を開けると、いけてなーいお人形さんと針数本がブックレットと一緒に入っていて、人形にはこれまでの数々のサルコジの「失言」がプリントされている。「私にはみんなと同じように扱われ…

不死鳥、セゴレーヌ。

バラク・オバマは、「We」を主語に頻繁に使う。 アラン・ドロンは、自分のことを指すのに「彼(il)」と第三人称を使ったけれども、果て「私」という主語しか知らない日本の宰相のリーダーシップとは何なのだろうか。やはり「私たち(nous)」を強調した、20…

ヨーロッパにおける「悪」の問題。

トニー・ジャットの『ヨーロッパ戦後史』という名著の下巻が7月にみすず書房から発刊されます。 英語版を読み進め、その後に仏語版を読み進め、邦訳が出てからは日本語で読み進め、要約読破できそうです(何たって原著は800頁もあります)。ヨーロッパ戦後史…

ファシストの子は・・・

マックス・モズレー、68歳。国際自動車連盟(FIA)の会長がスキャンダルに襲われた。 FIAといえば、F1を初め、WRCラリー、ツーリングカー選手権等々、世界のメジャー自動車レースの主催者団体だ。事の発端は今年3月、英タブロイドの「Nwes of the World」が…

ポスト・ミシュラン。

東京版ミシュランの悪口は散々流布されたので、いまさら書くこともないのだけれども、余り指摘されてない弱点がある。それはミシュランのひとつの「売り」でもある「Bib」というカテゴリーがないこと。 これは、いわば「編集部お薦め店」、日本流にいえば「…

カーラ、お前もか!

先週末、ユーロディズニーで、サルコジ大統領とカーラ・ブルーニのデート場面が目撃されたという。デートが目撃されたのはこれが初めてのことではないし、彼女の知人である編集者が大統領との関係を打ち明けられた、というのだからまあまあ信頼性の高いゴシ…

DSK。

お気に入りのフランスの政治家の1人、ドミニク・ストロス=カーン(略してDSK)が下馬評通りIMFの専務理事に選出された。頭の回転が早いという意味では、今の社会党で最も頭のよい政治家の1人だし、もともとエコノミストとして社会党入りした人間であり、70年…

その思い出はプライスレス。

2006年10月に仏国立農業研究所に提出された博士論文は18万5500ユーロしたのだという。内容はといえば、野菜の分子構造に関するもの。 しかし、この博論に何か世紀の大発明につながるヒントが隠されていて、産学協同に熱心な企業と大学が値段をつけた、という…

ある碩学の死去。

フランス政治学界の重鎮中の重鎮、ルネ・レモンが4月13日に逝った(享年88歳)。フランス革命史家のフランソワ・フュレの後を継いで、アカデミー・フランセーズ入りし、「不滅の人(immortels)」(終身会員であることからそう呼称される)の碩学も、長い闘…

ボノによるシラクへの呼びかけ。

U2のBonoによるフランスへの呼びかけが「ル・モンド」(3月23日付)に掲載されました。 ボノはご存知のように、INGOであるDATA (Debt, AIDS, Trade, Africa)を設立して、途上国の債務「グローバルな貧困解決キャンペーン(G-Cap)」や「国連ミレニアム開発目…

ミシュラン三ツ星とトリュフの謎。

Michelin Red Guide 2007 France: Hotels & Restaurants (Michelin Red Guide: France)Michelin Travel Publications (2007/04)Michelin Travel Pubns この商品の詳細を見る今年もミシュラン赤本の更新の季節になった。 結論からいうと、5つが出て5つが入っ…

パリ・スクール・オブ・エコノミクスの誕生。

LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の向こうを張って、PSE(パリ・スクール・オブ・エコノミクス)なる大学院大学がフランスに誕生した。 http://www.parisschoolofeconomics.eu/versfre/? (←ものすごく先行き不安感を感じさせるウェッブサイト…

前哨戦の開始。

2月をもって、フランスの大統領選は本格的にスタートする。手始めは社会党ロワイヤルの選挙綱領の公表から、だ。その直前に、世論調査機関TNSソフレスの得票率予想結果第11弾が実施された。最近、メディアが「サルコジ・サイクル」に入ったこともあって、ロ…

昔の「リュマニテ」、今の「リュマニテ」。

2005‐2006年はフランス共産党の史料公開が大きく前進した年だった。 共産党系労組であるCGT(仏総同盟)も、歩調を合わせるかのように、史料整理に着手し、その目録(Inventaire)を作成している。これでフランス共産党の本格的な歴史研究が可能になるか…

女性キャスター、というかボクの危機。

我が愛するフランス2の週末のニュース・キャスターであるベアトリス・シューンベルグさんが危機に陥っている。というのも、彼女は昨年現内閣の雇用相であるボルロー氏と結婚した(二回目である)。ちなみに彼女は87年からTV局サンクでロシア特派員も勤めた実…

フランス大統領選−その2

バカンスに入って報道はひと段落したが、大統領選は依然として盛り上がりをみせている。社会党ロワイヤルとUMPサルコジ内相がトップを独走中という構図は変わっていないが、通常のパターンを辿るとすれば、秋に有権者の「飽き」がみられるとともに「第三の男…

だ、だいとうりょう、

これはセクハラといいます…

ご馳走様でした−合掌。

トゥール・ダルジャンのオーナー、クロード・テライユ氏が享年88歳で亡くなった。食べに行った際、丁度隣の席で(=末席だったのである)、若い奥さんとゆっくりと楽しそうに遅い昼食をとっていた。給仕のサーブに目を光らせつつ、1時間に一回、店内をゆっく…