フランス大統領選−その2

バカンスに入って報道はひと段落したが、大統領選は依然として盛り上がりをみせている。社会党ロワイヤルとUMPサルコジ内相がトップを独走中という構図は変わっていないが、通常のパターンを辿るとすれば、秋に有権者の「飽き」がみられるとともに「第三の男」が表れて、支持率を若干落とすことが予想される。

そうした中、マクドナルド破壊運動と反グローバル運動で有名になったジョゼ・ボヴェが大統領選出馬の意向を表明して、すわ有力候補になるかと注目されたが、確固とした組織基盤もなく、極左勢力も積極的支持を与えていないため、2%(IPSOS調査、7月12日)と低空飛行に留まっている。

以下、2005年4月の大統領選に向けての定点観測を行っているTNS−SOFRESの4回に渡る調査結果を整理しておきたい(これは「投票予測」であって「支持率」ではないことに注意)。

2002年大統領選で「シラク−ジョスパン決戦間違いなし」と喧伝して見事に極右ル・ペンの進出を許した世論調査至上主義の反省は余りみられない。候補者にしても、マスコミにしても、それ以外による術がない、というのはどこの国でも似たようなものなのだろう。

同社の調査は、潜在立候補者が全て出馬表明を正式にしていないため、また党の最終候補者が確定していないために、いくつか異なる仮定を置いて調査していることにある。例えば、社会党の候補がロワイヤルになるのか、ジョスパンになるのかでは投票行動は異なってくるし、これはUMPでサルコジあるいはド・ヴィルパンが指名されるのか、という点でも同じである。しかし、党内の状況をみていても現況ではサルコジ対ロワイヤルの図式は変わりそうにない。従って、以下では両者が出馬する、という仮定の結果のみを記してある。

なお、重視する争点としては、何れの調査でも「失業」、「教育」、「社会保障財源」、「治安」が党派問わずにトップ項目に来ている。逆に低いのが「CPE(初期就業教育)」、「週35時間労働」、「地方分権」、「欧州」といった単発的な政策についてである。

第一回調査(5月17-18日)
●第一回投票(ロワイヤル/ド・ヴィルパン/サルコジ立候補仮定)
ロワイヤル:31%
サルコジ:32%
ル・ペン:10%
●第二回調査(6月14-15日)
ロワイヤル:32%
サルコジ:31%
ル・ペン:12.5%
●第三回調査(7月17日)
ロワイヤル:32%
サルコジ:35%
ル・ペン:11.5%

ちなみに7月に立候補の準備はある、と明確にアナウンスしたジョスパンは思ったほどの支持を得られず、サルコジ対ジョスパンを仮定した場合には38%対21.5%で完敗、という結果になっている。ロワイヤル支持のバンドワゴン効果は党内で益々高まるだろう。

IPSOSの7月の支持率調査では、ド・ヴィルパンが「W杯効果」で若干のポイントを稼いだものの、ロワイヤル62%、サルコジ60%、ル・ペン24%と同じような傾向となっている。