「赤本」2009年版。

michelin_2009.pngフランスでは「ミシュランガイド」の100周年記念版が発売中。

このブログではこの「赤本」について引き続きしつこく言及していきます(笑)。

サルコジ大統領がユネスコの無形世界遺産にすべきだと主張するまでになったこの「フランス料理」。
3月2日付けのル・モンドが「世界でのフランス料理の現状」についてリポートしている。各国の仏大使宛てにアンケートを送ってその国におけるフランス料理のプレゼンスや如何に、とやってしまうところが面白い。

さて、その結果によると、フランス料理はどの国でもすでに根付いたものとして認知されているものの、やはり近年ではイタリア料理に押され気味らしい。他方で、人間開発指数と関連付けるとフランス料理の普及度との相関が明白にあるのだそうだ。フランス料理はやはり豊かさの象徴ということだろうか?

そういえば昔、とあるお偉いさんの思いつきで「在留邦人数とその国における日本料理屋の相関」なるものを調べさせられたことがある。その時は確か200〜300人に一軒という割合だったように記憶しているが、フランス料理はフランス人のためではないのだから、そのプレゼンスは当然もっと高いということになる。

ちなみに日本には、アメリカの4000軒を上回る5000軒のフランチ・レストランが存在するという。東京版は150店程度だから、東京に集中しているとはいえ、日本版(正確には東京版)ミシュランの偏りは否めない。ちなみに、近々東京版に続く第二版が計画されているという。おそらく関西圏、それも京都を中心にしたガイドになるのだろう。

2009年に入ってフランス版ミシュランの編集は、それまでドイツ語圏版を担当していた若干38歳のドイツ人女性に任されることになった。そのことからもわかるように、ミシュランガイドそのものが国際化し、ガイドブックそのものが独自のフランス料理の勢力圏の範囲を規定するようになった。

ル・モンド紙の調査が秀逸なのは、そこまでフランス料理が騒がれていながらも正確な実態調査がないということから、アンケートを作成し、調査し、分析を加えたことにある。それはおそらく赤本100周年記念版に対するアンチテーゼであり、そしておそらく余程フランス的なのではないのだろうか。