フランスにおけるベーシックインカムの提案。

先にツイートもしましたが、フランスの厚労相(ミリアム・エル・コムリ労働・雇用・職業訓練・社会ダイアローグ相)が機関「全国デジタル評議会」に委託して1月に提出された「デジタル労働雇用:新たな道筋(“Travail emploi numérique : les nouvelles trajectoires”)」報告書にベーシック・インカムの提言がありました。

「全国デジタル評議会」(Le Conseil national du numérique:CNNum)

 http://www.cnnumerique.fr/travail/

関心が高かったようですが、何分フランス語なので、以下に概略を記します。

何もベーシックインカムに集中しての議論ではなく、デジタル化・機械化・オートメーション化が進む社会経済における新たな労働の在り方についての提言と分析を含むものです。IT関連が成長産業であるにも係らず、賃金が低かったり能力育成の機会がないことを問題視して、職業訓練の多様化や分散化、官民の連携、産業間の協力など20の提案が盛り込まれています。

プレスリリース:http://www.cnnumerique.fr/wp-content/uploads/2015/11/Dossier-de-presse-rapport-travail-emploi-CNNum-VF.pdf

 報告書:http://www.cnnumerique.fr/wp-content/uploads/2015/12/Rapport-travail-version-finale-janv2016.pdf

 このうち、ベーカム(最低所得:revenue de base)については、最後の20番目の提案にあります。

「デジタル革命の前提となるベーカムは数年前から、格差や行政手続きの簡素化、公平な再分配、労働の配分など様々な理由から、シンクタンクNPO、自治体などが提唱しているものである。すでにフィンランドやオランダ、フランスの自治体でも実験されている。当評議会は特定の立場はとらないものの、ベーカムの可能性や実施可能性について精査することは急務であると考える。その上で、経済学者、統計学者、税理士、法律家を動員してフィージビリティインパクト調査をすることを提案する。すでにフランス下院は2015年に長期失業者ゼロ法案を可決して、失業手当を失業者を雇用した企業に直接支払う実験にゴーサインを出した所である」(要約文)

様々な社会実験を欧州も試みています。そう考えると「特区」などで歩止まりの日本の行政のイノヴェーションのなさが目に付きます。