アレクサンドリアのテロリスト。
明けましておめでとうございます。
「ル・モンド」で一番好きなが、大体最終ページにのっているRobert Sole署名の「Billet」というコラムです。
軽妙でいて洒脱かつ味わい深い一文が乗っています。日本でいえば朝日に「天声人語」みたいなものですが、趣きとしては、日経に「小機大機」や産経の(もうすでにない)「遮断機」のような感じです。
1月4日付けのを訳してみましょう。
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「アレクサンドリア」
アレクサンドリアの教会でテロを完遂した自爆テロリストは行方がしれない。
確かな筋によると、彼は天国の入り口にまでたどり着いたとされる。
もしかしたら、アラー本人の出迎えを待っていたのかもしれないが、扉を開けたのは深刻な面持ちをした天使だったという。
彼は誇らしげに「私がアレクサンドリアの殉教者です」と自己紹介した。しかし聴こえたのは「この馬鹿者!」との天の声。
果て、この声は彼に向けられたものなのか?何かの間違い?
「いえ、確かにこの私が21人もの男女、子供の異教徒たちを殺し、数百人を傷つけることに成功した者なのです!」
その声曰く、「天国は馬鹿者が入ることを禁じておる」。
自爆テロリストは怒り狂い、そして恐れおののく。
「・・・ということは、ここは地獄なのですか!」
「違う。地獄は聖なる戦争なるものを信じさせた倒錯者のためにあるのだ。貴君はその後に処刑場に連れて行かれるのだ」
そして天国の扉は静かに閉じられた。同様の情報によれば、天使はこの時静かに泣いていたという。
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殺された者、殺した者の魂が救われんことを。