2012年11月8日付け「リベラシオン紙」(日本評)。

リベラシオン」というフランスの日刊紙があります。左派ですが、有名な「ル・モンド」ほど堅苦しくなく、1968年世代が作った新聞という性格もあって、比較的若い読者が多いようです。
ル・モンド」では日本の文化情報が結構掲載されるのですが、リベラシオンではそれほどではありませんが、最近、日本経済に関する記事が久々に掲載されました。コメントを求められたので、以下に訳出してみます(急いで訳しているので完全に正確ではありませんが)。

日本産業の華が枯れていく――リセッション間際の国で、自動車とハイテク産業が生産を縮小」

日本経済は苦境にある。これまで国の誇りでもあった自動車と電気産業で過去数日からリストラ計画や歴史的な売り上げ減が報告されている。経営者と国は、悲観を隠そうともしない。鉱工業生産は「右肩下がり」にあると経済省は発表し、過去8.1%も現象した。見通しも明るいとは言いがたい。日銀は2012-13年で0.1%のデフレ、成長率は1.5%に留まると発表している。大和総研のMitsumaru KumagaiとMasahiko Hashimotoは「景気の落ち込みは加速化している。9月からの経済指標をみれば日本経済がリセッション直前というのは明らかだ」という。

悪いニュースは電機産業の大手からもたらされた。同部門は非常に脆弱だ、とシャープ社長のTakashi Okudaでさえ指摘する。液晶画面を発明した同社は、創業100周年を4500億円の赤字でもって迎えることになった。同社は5000人を人員削減し、従業員2万7500人の賃金も引き下げられる。

同じ日、もうひとつの雄であるパナソニックは7650億円の赤字見通しを発表して、関係者は驚かされた。5月に500億円の黒字を見込んでいたからだ。11月6日に同社株価は388円と、1975年来の低い水準となった。ソニーも順調とはいえない。155億円の損失を計上し、数千人の人員削減を発表せざるを得なくなっている。

高い円でのハンディもあり、電気産業のトリオは欧州の債務危機の影響を受け、輸出を大幅に減らした。構造的にみて、パナソニック、シャープ、ソニーは、強力で小回りの聞くライバル勢に押されている。韓国のサムスンとLG電気、台湾のフォックスコン、あるいは米アップル社もスマートフォンタブレット市場に早期に参入し、2000年代後半になって本格的に取り組んだ日系企業よりも一歩先を行っている。尖閣諸島をめぐる中国との危機は、売り上げをさらに落ち込ませた。日本による9月の国有化の後、中国は日系企業の輸出を妨害する手立てを取ったからである。

自動車産業もこの反日キャンペーンの犠牲者になった。日産、ホンダ、マツダは10月に前年同期比で40から53%の販売落ち込みを報告している。トヨタだけが予想を上回る売上高を計上している。「9月に自動車販売はすでに補助金打ち切りで落ち込んでいた」と、すでに7月から自動車産業の減速傾向を指摘していた日本総研は述べている。同研究所の専門家は、日本の経済は「深刻な状況」にある、という。経済産業省によれば9月の鉱工業生産が落ち込んだのも自動車産業の不振による所が大きいという。部品製造と組立工場では、ラインがストップするところも出てきている。

こうした状況で、同省は10月に鉱工業生産は1.5%の落ち込みをみせると予測している。家計も同じく、2011年9月比べて0.9%の支出減となり、過去8ヶ月で初めて落ち込みをみせた。「フクシマまで、日本は科学技術と防災については楽観的だった」と北海道大学の政治学者の吉田徹は指摘する。「しかし、3.11以降、この信頼までもが裏切られた。それもデフレや人口減といった中でだ」という。

2009年の政権交代も景気後退の悪循環を断ち切ることができなかった。政権の不安定さは増し、政治に対する不信感を強める結果となった。大和総研は、「日本政府は一体性のある政策を打ち出す必要があり、それは指導者の明晰なビジョンによって担保されなければならない」と指摘している。

以上です。
次回は、より政治にフォーカスした記事を執筆するそうですが、この記事は一般的なフランスの日本イメージの要約にもなっています。