比較政治学会@2010

早いものでもう節句を迎えました。年を重ねるほど時間感覚が狂っているような気がしますが。

6月19-20日の比較政治学会で次のようなパネルで報告します。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jacp/event/taikai/2010j-pre.html

自由企画12 「政党戦略と政党間競合」
趣旨:ヨーロッパにおける政党の変容については多くの議論が積み重ねられてきている。いつから、どう変化したのかに議論の余地はあり、また地域差も大きいものの、現在の政党の性質、組織、働きは例えば60年代前半のそれとは大きく異なっている。
 しかし、政党の変容についての議論に比し、政党システムの変容に関する研究は、十分には展開されていない。政党の変化は、政党システムのどのような変化をもたらしているのだろうか。従来、政党システムに関しては、政党の数や顔ぶれが重視されてきたが、議会選挙と政権構成の二つのレヴェルにおいて相互に競合する政党が形成するのが政党システムであり、この競合のあり方をこそ、分析する必要があろう。
 このような問題意識から、本パネルでは、政党間競合を分析の対象とし、近年のヨーロッパ諸国における、変化した政党を主体とする政党間競合の特徴を描き出すことを目的とする。例えば、カルテル政党化、選挙プロフェッショナル政党化と呼ばれる現象が、政党間競合にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする試みである。
 その際、注目するのは、政党の選挙戦略である。政党が社会状況と、他党との関係をどのように認知し、その上でどのような戦略を構築しているのかに焦点を当て、選挙における政党間競合の一面をあきらかにする。
 具体的には、次の三つの報告を予定している。第一は、既存研究を踏まえたうえで、政党システム論を再検討し、政党間競合の分析枠組みの精緻化を試みる理論的報告である。第二は、質的アプローチとして、具体的な各国の個別の選挙に即し、政党の選挙戦略を、選挙綱領、スローガン、ポスター等の分析から明らかにする。ここでは、既存デモクラシー諸国と新興民主化諸国の双方からの報告を予定している。第三は、計量分析によるアプローチである。Budge、Klingemannら比較マニフェスト・グループや、Benoit、Laverらの専門家アンケートのデータを参考にした政党の政策位置と、世論調査等のデータから導きだす有権者分布を比較し、政党の戦略と政党間競合の特徴を分析する。

[司 会]
網谷龍介(明治学院大学
[報 告]
第一報告:空井護(北海道大学)「政党システム概念のサルトーリ的転回について」
第二報告:
吉田徹(北海道大学)「フランスにおける「大統領政党」の系譜――UMP(国民運動連合)を中心として――」
網谷龍介(明治学院大学)「戦後ドイツにおける政党間競合と言説戦略」
中田瑞穂(名古屋大学)「政党戦略におけるリンケージモードと政党間競合パターン――チェコとスロヴァキアを事例に――」
第三報告:成廣孝(岡山大学)「ヨーロッパにおける有権者のなかの政党システム――西欧諸国における比較――」
(コメンテータは立てず、相互にコメントするラウンドテーブル方式を予定しています。)

どうも自分の報告だけ全体の趣旨から浮いているような気もしてきたのですが、個人的には初めて本格的にゴーリスト政党(とUMPを定義できるのかどうかは微妙なのかもしれませんが)に言及するので、チャレンジングです。

今回の比較政治学会は知らない研究者の方々も大勢いて、トピックもバランスがとれていて、楽しめそうです。