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闘う65歳。

こんなことがあった。


大学で、コリン・クラウチとロベール・ボワイエという、政治学と経済学の両巨頭を迎えてのワークショップがあった。クラウチは前々から著作から多くを学び、ボワイエはレギュラシオン学派に弟子入りしようと思っていた10年前にパリで会ったこともあり、久々にわくわくする取り合わせだった。
クラウチBBCとボワイエ=France2をザッピングしているようだね、とは同僚との会話。

仏語担当ということで、勢いボワイエ氏と会話することの多かったのだが、昔会ったイメージと変わらず、子供のような好奇心と全身から飛び出すエネルギーは健全だった(口からよくものが飛び、手元では色々なものがこぼれる)。

素直で明るいキャラクターに、歴史と経済学の教養から出される冷静な分析を、逞しい闘争力で包み込む。数学ではなく物理学がもっとも好きだったといい、もっとも影響を受けた社会学者のは、ブルデューとN.カルドアだったと言っていたのが、何よりもその姿勢を表しているのではないだろうか。
「ロマンチシズムのない政治学なんて政治学じゃない」。

レギュラシオンといえば、今の日本では「あれね」という感じになってしまったが、それが「闘っている相手」は今の時代になってますます強力になっている。話は、アメリカ政治経済学の事情から社会党の右傾化、ネオリベ改革、大学の現状と、ますます悲観的になっていく。氏の口から「pathetique」という言葉が何度も口をついて出た。お互いもう祖国から離れて移住したいね、と。

R.レッドフォードの最新作「大いなる陰謀(Lions for Lambs)」は相変わらず説教臭かったのだが、シニカルな学生の「ポリティカル・サイエンスは本当にサイエンスなのか。有権者が騙される心理学なのか、政治家になるために嘘をつくテクニックなのか、学んでも意味がないじゃん」なる台詞はわからないでもない。

でも65歳のボワイエ氏はまだあんなに闘っている。もう少し国から出ないで闘ってみようか、と大きな元気をもらった。

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