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フィリップ新内閣について。

先に時事通信の会員サイト「Janet」で「【対談】遠藤乾氏・吉田徹氏 マクロン外交は国際協調主義ーー大統領選で生じた亀裂を修復できるか」を掲載したところですが、5月17日のエドゥアール・フィリップ内閣の発足にあわせて追加インタビューがありました。フランスでは、大統領が当選した後に、議会選を待つ前に首相を任命、組閣が行われるのが通例となっています。以下に時事通信の許可を得て、当該部分のみを転載します。

マクロン⼤統領による初の組閣が⾏われた直後の5⽉18⽇、吉⽥⽒が改めて電話インタビューに応じ、新内閣の特徴などを語った。内容は以下の通り)


─フィリップ内閣の特徴は何でしょうか。

吉⽥⽒ 新閣僚では、担当⼤⾂も含めれば、⾸相以外で右派から2⼈、左派から4⼈、中道から3⼈、さらに政治家以外から⽂化⼤⾂や⾼等教育相、エコロジー相など8⼈が登⽤されました。これは、選挙戦中からマクロン⽒が公⾔していた、特定の党派や政党に依拠しない政治を⾏っていくという⽅針が⼈事においても貫徹されたといえるでしょう。

これは、満遍なく、さまざまな政治勢⼒からの閣僚を迎え⼊れなければならないということでもあります。政策領域に精通している⼤⾂を任命していることも特徴です。そうした点ではよく練られた適材適所の⼈事だと思います。内閣の⼈数はもっとも少ないと想定されていましが、実務型で機動性も⾼くみえます。さらに男⼥同数であることも特筆されます。


─6⽉の総選挙までの暫定内閣なのでしょうか。
吉⽥⽒ フィリップ内閣が続投できるかどうかは下院選の結果次第です。共和党が議会多数派となる可能性も低くはありませんが、その場合、同党出⾝でジュペ元⾸相の信頼も厚いフィリップ⾸相の内閣に不信任案を突き付けるのは難しいと考えられます。それ⾃体が共和党の分裂につながりかねません。もしマクロン⼤統領⾃⾝の「共和国前進」が多数派を形成できなかった場合も、その保険として共和党から⾸相を迎えたという⾯もあるでしょう。


ルメール⽒を経済相に充て、共和党に経済の責任を取ってもらうという形でしょうか。
吉⽥⽒ マクロン⼤統領の規制改⾰寄りの姿勢が⽰された形です。オランド⼤統領のもとバルス政権は、マクロン⽒⾃⾝が経済相時代、率先して法案を通した経済政策でもって、政権と党内が⼤きく分断されました。そう考えると、マクロン⼤統領の経済政策を実現するには、社会党よりも共和党の政治家に任せた⽅が適任です。さらに議会多数派の協⼒も得やすいという考慮もあってルメール⽒を経済相に任命したとみています。

 

─ルドリアン⽒が外交と欧州を担当することになりました。

吉⽥⽒ ルドリアン⽒はオランド⼤統領が⼤統領候補だった時代から、彼の国防政策のブレーンでした。そこは継続性を重視したということでしょう。また、社会党にあってかなり早くからマクロン⽒⽀持を表明していたので、その論功⾏賞的な意味合いもあるかと思います。そうした意味で外交政策はオランド時代のものと⼤きく逸脱することはないとみます。ただ象徴的なのはルドリアン⽒の管轄が「欧州および外務」となっていることです。欧州が先に来ているのはヨーロッパ重視姿勢の表れです。


─環境活動家のニコラ・ユロ⽒の環境相就任は。
吉⽥⽒ シラクサルコジ、オランドのいずれの⼤統領の下でも、その内閣⼊りがささやかれてきたユロ⽒ですが、マクロン⼤統領なら内閣に⼊ってもいいということなのかもしれません。⼤統領選では、マクロン⽒が環境政策をあまり訴えてこなかったことに緑の党は不満を持っており、彼⾃⾝、エコロジー問題に関⼼を⽰していないと⾒られていたこともあって、そのイメージ払拭(ふっしょく)を狙って環境活動家として知名度の⾼いユロ⽒を⺠間⼈枠の中で⼊閣を要請した可能性もあるでしょう。


─当⾯の課題は。
吉⽥⽒ マクロン⼤統領は下院選が終わっても、閣僚のバカンスを認めず、新たな労働法を政令でもって制定すると約束しています。労組は既に反発しており、秋⼝からストやデモが相次ぐ可能性もあります。ただ、マクロン⽒が労働者や労組の反対を押し切って強⾏突破するとは考えにくい。時間をかけて合意点を探っていくことになりますが、それが世論からどう評価されるか、現時点では未知数です。今のところ、国⺠戦線のマリーヌ・ルペン⽒も選挙を前に沈黙を守ったままです。どういう争点が総選挙で展開されるかも、その後の⼤統領の⽀持率にかかわってくるはずです。

(以上)

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