青少年の国際意識比較調査(フライデースピーカーズ/三角山放送局で話したこと)。

 

この間は、FMラジオの三角山放送局(@札幌)での初メインスピーカーでした。2時間の番組ですが、曲とCM入れれば実質トークの時間は1時間強、意外とすぐに終わってしまいます。

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隔月で最終金曜15:00からの番組で、北大公共政策大学院の同僚の遠藤乾さんと交代で担当します。

遠藤先生の場合はほとんど毎回ゲストをお呼びしているように記憶していますが、私の場合は、コーナーを2つ作ってお届けすることにしました。

1つ目は、その時々の時事解説「ニュースそこが知りたい」。

2つ目は、話題の本やピックアップした本を紹介する「ブックガイド」です。

 

3月27日の放送の①「ニュースそこが知りたい」では、投票年齢の18才引き下げについて、②「ブックガイド」ではまだまだ話題の(いまさらの)T.ピケティ『21世紀の資本』の内容を、著者の人となりとともに紹介しました(ちなみにこの本の最大の裏メッセージは、人類は戦争がないままに平等な社会を築くことができるのかだろうか、という問いかけだろうと思います。イギリスやアメリカの所得税や資本課税は戦争遂行のために設けられたものでもあります。)。

 

①で話したポイントは以下の4つです。

-投票権の18才への年齢引き下げは日本の民主主義のいわゆるグローバル・スタンダード化。

-ただそれだけで若年層の投票率が上がるとは考えにくい(これは3月6日付けの日経新聞にコメントしました)。

-引き下げは憲法改正を視野に入れた国民投票法と関係していること。

-選挙だけでなく、成人年齢も併せて引き下げられることも附則として法案には盛り込まれており、そうすると少年法や消費者法などに大きく関係してくること。

 その上で、日本の青年層の政治や社会への関心が低くないこと、他方で強い不満を持っていることをいくつかの数字で紹介しました。細かい数字なので、以下、再掲しておきます。

 

よく引かれることもある文部科学省「世界青年意識調査」(日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、韓国の18歳から24歳を対象にした2009年の調査)によると:

日本の青年で政治に関心があるとする者の割合は58%(ちなみに2003年には47%)

アメリカ(54%)、韓国(50%)、フランス( 43%)、イギリス( 33%)を押さえて6カ国中トップ。また、ボランティア経験への関心も高い。

 

シンクタンク「政治革新財団(Fondapol)」による25カ国(アメリカ大陸、西欧、東欧、中東などの16〜 29歳)の青年を対象にした調査(『世界の若者』2011年):

-日本の青年のうち「人生に満足している」と回答しているのはわずか45%(各国平均77%)。
経済的な不満については、日本75%(平均59%)、

仕事への不満については、日本60%(平均43%)

自分を社会の一員であると感じるとする回答は64%(各国平均74%)

上の世代の年金を負担することについて50%が反対、35%が賛成(アメリカは反対

47%賛成41%、カナダは反対17%賛成77%、ドイツは反対36%賛成56%)

-「人は選択・行動によって社会を変えられると思うか」という問いに対して、否と答えた日本の青少年は70%(25カ国中ハンガリー( 65%)に次いで最も高い数字)

-投票は義務だと思うかという問いに対して、正と答えた日本の青年は 80%(平均81%)。

 

色々と留保はつけられますが、こうみてみると、日本の青年は政治や社会に関心をそれなりに持っているものの、国際比較でみれば(色々な意味でこの点を強調しておきますが)自分を取り巻く環境については強い不満を持つとともに能動的な変革の意識は低く、他方で世代間の負担については冷淡である、といった傾向を持つことが伺えます。