年金はまだ先のこと?

9月のバカンス明けから、世はデモとストライキの連続である。

老齢人口の増加で年金財政は破綻寸前ということで、今まで時の政府にとって鬼門だった定年制の改革にサルコジ政権が乗り出したからだ。改革案の骨子は、現在の定年60歳(満額給付開始年齢、実際の平均退職年齢は59.3才)を2018年までに62歳に引き上げるというもの。

天気の良い日にデモに参加(というよりは利害関係者ではないので列につらなったというべきか)してみた。
ラップあり、屋台あり、ちょっと札幌よさこい祭りにも似た祝祭感覚。イデオロギーだけでも利得だけでも人は動員されない。楽しさがなければならない。

200万人近くが参加して近年、稀に見るかなりのマニフェスタシオン(デモ)がみられたのだが、これに加えて今週は高校生が参加、200校の高校が閉鎖に追い込まれた。特段、政党や労組にそそのかされているわけでもなく、学生集会を開いてロックアウトを投票で決定し、デモの後にきちんと掃除をしているところなどをみると、大したものである。

曰く、「ただでさえ若年者の雇用が厳しいのに、退職年齢を引き上げられたら若者の労働市場の参入がさらに遅くなる」。実際、若年層の失業率は21%と平均の2倍以上、正規雇用開始の平均年齢も27歳である。

「年金の貰い逃げ」などという意識とは、ほど遠い。他人を非難するより、自分で立ち上がる方が、楽しく、健全なのは確かではないか。

以下は、84年に退職年齢を60歳に引き下げたモーロワ元首相の上院での反対演説。
やはり、フランスは議会より街頭の方が活気がある。
http://www.youtube.com/watch?v=uiTAbxRne9M