メディアなど、

ゴールデンウィークで久しぶりにゆっくりした時間を送っています。

さて、とはいえ来週6日には英国総選挙。
本来はフランス政治が専門でイギリスについては通り一辺倒のことしか知りませんが、
二大政党制の文脈から分析せよ、との依頼をいただきました。

英選挙についてはまだ確定的なことは申し上げられませんが、現時点では以下のように考えています。

1.英二大政党の得票率の総計は60年代後半から降下気味で、他方で地方選や欧州議会選では小政党の躍進がみられる。
従って、今回はこうした長期的傾向と、保守党18年(79-97年)と労働党13年(97-2010年)に対する反発、与党のスキャンダルという短期的要因が組み合わさった結果といえる。つまりは、自由民主党への積極的支持ではなく批判票という側面も強い。

2.日本では二大政党制が政治のダイナミズムを実現するものと期待されてきたが、一党の長期支配や社会の多様な要求を汲み取れないといった英国が抱える問題が再現される可能性も無視できない。さらに政治主導(官邸主導)の弊害として、ブレアのイラク戦争参戦があり(これが労働党の支持率低下に大きく影響した)、「強い首相」という英国の議院内閣制のあり方にも疑念がもたれる。英政治はすでにこれらについての反省を始めている。

3.原則として二大政党制は、その社会の強固な構造(英ならば社会階級)を基礎として成り立ってきた。そのような前提が崩れつつある現代において、二大政党制そのものが機能不全となるのは当然のこと。こうした事実を踏まえないで 政治改革と二大政党制に対する期待論が持続したのは、日本が未だ戦後のキャッチアップ型の考えを捨て切れていないから。

4.現在の新党ブームは比例代表議席が見込まれる参院選を前にしているため。参議院でも、ハングパーラメント的な状況が生じるため、各新党は、自由民主党と同じく、キャスティングヴォートを握ることを期待しているというのが
現状。衆院レベルでは、民主・自民ともに英二政党以上の議席獲得率を持っており、日本が二大政党化を前提としているのは間違いがないところ。

そのような感じで、

5月6日、07:40ごろからJ-WaveのMorning Radioコメント、
5月7日、20:00〜22:00までBSフジのプライム・ニュースのゲスト、
5月8日日経新聞コメント(→10日になりました。日野愛郎先生との対論形式)

と続きます。機会がありましたらご覧下さい。

周知のように自由民主党の高支持率が話題になっているわけですが、それほど大きな議席増はないものと推測しています。それよりも、おそらくブレア/キャメロンというサウンドバイト型のポピュリスト政治家なのか、ブラウン/クレッグという実務/調整型の政治家なのか、という観点からみるのも面白いかもしれません。