書評記事、

やや旧聞に属しますが、8月16日付けの日経新聞の読書欄にヘールト・マックの『ヨーロッパの100年』(徳間書店)の書評を寄せています。

ヨーロッパの100年(上) 何が起き、何が起きなかったのかヨーロッパの100年(上) 何が起き、何が起きなかったのか
(2009/06/23)
ヘールト・マック

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ヨーロッパの100年(下) 何が起き、何が起きなかったのかヨーロッパの100年(下) 何が起き、何が起きなかったのか
(2009/06/23)
ヘールト・マック

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合計で700ページ以上ある書物ですが、新しい切り口と語り口で、十分楽しめる本です。
学部生の方々でこれからヨーロッパを学ぶための、極めてボールドでヴィヴィッドに想像力を喚起させる歴史の本にっているのではないかと想像します。とにかく、その縦横無尽な筆運びに感嘆をしました。

著者はジャーナリストですから、それほど小難しい話をするわけではないのですが、その土地に足を運び証言を広い、文書館で資料を発掘し、その時代の雰囲気を再構成していく腕は、歴史家も顔負けといったところです。多少の誤訳に気が付きましたが、これも許容範囲ではないでしょうか。

なお、書評続きですが、「図書新聞」8月29日号に、バディウ著『サルコジとは誰か?』の書評もあわせて寄せています。

サルコジとは誰か?―移民国家フランスの臨界サルコジとは誰か?―移民国家フランスの臨界
(2009/06)
アラン バディウ

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こちらは、極めて「フランス」的な政治評論の書、いまだ現役バリバリのマオイストである老哲学書によるサルコジ的なるものへの痛快な批判が楽しめる本になっています。