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ポスト・ミシュラン。

東京版ミシュランの悪口は散々流布されたので、いまさら書くこともないのだけれども、余り指摘されてない弱点がある。

それはミシュランのひとつの「売り」でもある「Bib」というカテゴリーがないこと。
これは、いわば「編集部お薦め店」、日本流にいえば「安くて旨い店」カテゴリーである。これがないということは、金持ちのためだけです、という位置づけを自ら買って出た、ということになってしまう。

もっとも、ポストバブルの「ニューリッチ」たちは、いまさらガイドブックなんかに頼らず、旨い店は自分たちのネットワークの中で見出していくし、彼らが店を育てていく。オマール・シャリフは「ボクはガイドブックなんか買わない。タイユヴァンに行くのに必要ないから」と言い放ったらしいが、
そこまでいわずとも、東京版ミシュランを有難るのは、地方の富裕層か、きらきら星が好きなグルーピーか、未だ55年体制から抜け出せない親父たちということになるだろう。

ところで、最近アラン・デュカスが率いる「シャトー・オテル・フランス」(今ではシャトー・エ・オテル・コレクシオン」となった)に参加するシェフ100人が期間限定で28ユーロのメニュー開発に取り組んだという。このムーヴメント、その名も「フランスを(再び)料理する」。

中には、2つ星をとったClos des Sensのプティ料理長も参加している。メニューはというと、フォワグラに、甘辛のプルーンとジャガイモのガトー、干しブドウとくるみ合え、野ウサギの3枚おろしだそうだ(いまひとつ想像力のない翻訳ですが)。

3月26日付けの「ル・モンド」紙は、こうした安くてその土地で定番のキィズィーヌを提供しよう、という動きが全国で広がっていることを報じている。その目的は単に「新しい客層のためによりよい料理の民主化」にある。

そう、店を育てるのが客であると同様に、客を育てるのも、また店の大きな社会的使命のはずなのである。

期間限定でもよいし、客数限定でもよいだろう、東京の星付きレストランで、3800円のプリフィクス・メニューを提供しています、くらいの使命感が出てくれば、それはミシュランが東京版を作った大いなる意義になるのではないかと思う。

え?個人的願望だって?

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