大統領サルコジの誕生。

sarko

↑はフランスの名物政治風刺番組、「ニュースの面白い奴等(Guignols de l'Info)」のサルコジ。日本でも政治風刺番組を作って欲しいものです。

そのキャラと顔が受けたのか、あるいは没落していく国が二重写しになったのか、先のフランス大統領戦は日本でも結構な論評が出ました。

ただ、個人的に、そしてフランス政治研究者として「競争重視」「市場経済型」「移民排斥」というキーワードでサルコジを捉えるのには違和感を感じます。

強引な労働市場改革は2006年のCPE(初期雇用契約)をめぐる際の騒動を間近でみていたサルコジにとって得策ではないことは明らかです。実際、彼は35時間を廃止する、などとは一言も言ったことはありません。他方で、外国人の地方選挙での投票権を主張したり、官職へのアファーマティブ・アクションの提唱者であることは余り知られていません。注意深くみると、当選早々から彼はむしろ「社会統合」を強調する方向にシフトしています。現下で進んでいる組閣の情報はそれを裏付けているのかもしれません。

お手並み拝見といったところですが、最初の100日間を過ぎて、サルコジは従来の「国父型」(それも非常にアクティブな)大統領へと変身していくように思えます。

サルコジは権力追求型の政治家です。権力追求型の人間は、以外とプラグマティックなものです。あるいは、権力を手にした瞬間に意外と脆さを露呈することもあります。

そんな主張を込めて、いくつかの媒体に論考を書かせてもらいました。

サルコジとロワイヤルはなぜ生き残ったか」『力の意思』6月号
「国民に政治への意思再び」5/14日付北海道新聞(夕刊)
「<現在>を読む−共和国を統治するという困難」5/21日付毎日新聞(朝刊)
「大統領サルコジの人生−父親殺しの半生(仮題)」『月刊現代』7月号(これは読み物といった趣です)

また6月10-17日に行われる国民議会選挙を踏まえて以下の2本を予定してます。
2007年7月号 『生活経済政策』(タイトル未定)
2007年6月18日の週、北海道新聞夕刊(タイトル未定)

さて「お祭り好きの共和主義者」(命名者E先生)としての仕事もひと段落します。しばらくは再びザッハリッヒな世界へと戻ることにしたいと思います。