ミシュラン三ツ星とトリュフの謎。

Michelin Red Guide 2007 France: Hotels & Restaurants (Michelin Red Guide: France) Michelin Red Guide 2007 France: Hotels & Restaurants (Michelin Red Guide: France)
Michelin Travel Publications (2007/04)
Michelin Travel Pubns

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今年もミシュラン赤本の更新の季節になった。
結論からいうと、5つが出て5つが入って、三ツ星グループは計26店と変わらず。4年前の事件、その後の批判と内幕暴露が禍いしてか、特段驚くような結果はなし。

強いて言えば、Cinq(フォーシーズンズ−ジョルジュサンク←折角新装開店だったのにね)とTaillevantが星を一つ失ったのがニュースといえばニュースか(←ちなみにLegendreシェフは両店経験者だ(^^;)MeuriceとPreCatelanは不動の地位。

もうひとつ眼を引いたのが、リヨン郊外のAnne-Sophie Pic(メゾン・ピック)が初めての3つ星に昇格したことだ。
http://www.pic-valence.com/index-fr.htm
女性としては久々の快挙ではないだろうか。
Pic夫婦で経営するお店。ロワイヤル社会党候補と社会党首のオランド氏のようだ。
「女性の時代」到来、というふうにまとめておきたい。

重厚長大のタイユヴァンであろうが、軽妙颯爽なピックであろうが、ともに欠かせない食材がトリュフ。赤本の発売時期とトリュフの収穫期はほぼ同一である。
実はこの食材の全容はまだまだ知られていない、ということを知った。

黒トリュフの学術名はTuber melanosporumというのだそうだが、医学の創始者テオフラストが「秋雨と雷によって栽培される植物」と記しているのだから、古代ギリシャ時代には既に知られていたことが解っている。
とはいえ、何が美味しいトリュフとそうでないものを分けているのか、それは遺伝子的なものなのか環境的なものなのかは科学的に未知なのだそうだ。最近、フランス国立農業研究所が遺伝子解読に国際コンソーシアムを組んで解明に乗り出したらしい。その結論の一部は、氷河期にどのように分布していったか、というところに求められるらしいから、もう完全にチンプンカンプンげである。

そうであっても、この「黒いダイヤモンド」(ブリア=サヴァラン)が美味しい、ということは明らかである。なぜ、美味しいのか。かのブリア=サヴァランはトリュフを「スカートを履く性にとってはエロチックでグルマンな記憶を呼び起こし、髭を蓄える性にとってはグルマンでエロチックな記憶を呼び起こす」と書いている(『美味礼賛』)。

さすがブリア先生。なんと最近神経科の専門家が、トリュフの香にはフェロモンと同一の成分が含まれている、と研究結果を公表した。
この間、「ん、これはトリュフにみえて黒オリーブに違いない」と判断して見事間違えたボクは橋にも箸にも棒にも引っかからない。