パリ・スクール・オブ・エコノミクスの誕生。

LSEロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の向こうを張って、PSE(パリ・スクール・オブ・エコノミクス)なる大学院大学がフランスに誕生した。
http://www.parisschoolofeconomics.eu/versfre/?
(←ものすごく先行き不安感を感じさせるウェッブサイト)

2月22日の開校式でドビルパン首相は「より公正な世界に資するフランスの外交力と世界での影響力がかかっている」と(余りにも過剰な)期待感を表明している。さらにPSEは「新しいヨーロッパ的なドクトリンの創出」を行う所ともいう。

もともとは2005年に数年来問題視されてきたフランスの高等教育機関のプレゼンス後退を挽回するために浮上した構想で、フランス版COE(pole d'exellence)」を目指すものだそうだ(部門としては経済学、社会学、公共政策、人口学の4つ)。

急ごしらえだけあって、LSEとは異なり既存の様々な研究・教育機関(パリ第一大学、高等師範学校、国立科学研究センターなど)のコンソーシアムという形をとっている。

おそらくもっとも革新的なのは民間資金を堂々と導入している、という点だろう。フランスの(も)教育現場はもっとも保守的である。その風穴を開けるための機関、という感じすらする。

フランスの「行けてる」「国際的な」高等教育機関としてはパリ政治学院(シアンスポ)の独壇場のはずである。この点、先日シアンスポ職員に「PSEができるけど、どうなんでしょうかね」と聞いたら「関係ないねー」とまったく相手にしてなかった。ま、そんなもんかもしれない。どんなものか今度パリに行くときに実際に訪ねてみたい(本音は海外大学のマグカップコレクションを増やしたいだけですけどね)。

ちなみに初代学長は「本場」LSE卒業生でMIT教員だったトマ・ピケティという経済学者だ。http://ideas.repec.org/e/ppi17.html
(最近、反サルコジを大々的に繰り広げている、ということで睨まれてしまった)。
71年生まれの若干36歳というのがすごいが、2001年に「フランスの20世紀における高所得」という本を著して、一躍経済界のスターになった人間だ。フランスでも「格差問題」が一番注目されている分野、ということなのだろうか。彼はロワイヤルに予備選で敗れたストロスカーン元蔵相のブレーンでもある。果たしてピケティはブレアのブレーンとなったLSEギデンズほどの人物になるのかどうか、PSEの行方とともに注目である。