フランス大統領選[前哨戦のはじまり]

 フランス大統領選の日程が早くて2007年4月15日に設定されていることから、丁度1年を切ったことになる。
当たるも八卦、当たらぬも八卦だが、そろそろ同業者の間でも話題に上るようになってきた。

パドックを見渡す限り、今のところはこんな状況だ。
 ドヴィルパンはサルコジ内相にそもそも劣勢だったところに、CPE(初期就業契約)で味噌をつけて、ほぼ立候補の可能性はつまれた。それ以前に4月23日に発表された世論調査では過去最低の支持率を、シラク大統領とともに更新した。

 昨年秋の暴動で危ういところをみせたサルコジ人気は相変わらず。CPEでも目立ったことをせずに、傷つくのを回避した。今後の勝負はいかにこの勢いを削がないか、というところに移るだろう。今まで資源を投入してきたドヴィルパンが後退して、シラクが禁じ手のサルコジ首相任命動くと考えるのは非現実的だ。

 左派は、相変わらず分裂状況が続いている。正式に立候補表明しているのが、オランド社会党第1書記の妻でロワイヤル現ポワトゥ・シャラント県議会議長、ラング元文化相、ストロス=カーン元経済財政相。その他にも、ファビウス元国民議会議長はもちろんのこと、クシュネール、オブリーと鼻息の荒いのが出揃う。
 今のところ、群を抜いて勢いがあるのがロワイヤル。世論調査では第二回投票でも2%差でサルコジを抜いて、今のところ当選確実視されている。秋に行われる予備選までバンドワゴン効果を発揮して人気を保つことができるかどうか。それとも「策士」ファビウスが一発逆転を狙って何か仕掛けてくるか。

 極右は、2002年のトラウマがあっても、ル・ペンは思ったほど悪くない。但し、EU憲法条約国民投票で「勝利」してポイントを上げたド・ヴィリエが追い上げている。

 構造としては、サルコジを梃子として全体的に競争空間が右にシフトしている。その中で中道派バイルーは存在感を示すことができないし、極左CPE撤回を追い風にしているが、決選投票では社会党候補支持にまわらざるを得ない。