独の混迷とフランス。

独の選挙結果は、フランス、特に社会党にとっての大きな教訓となっている。

内部分裂によって左の位置が占められ、サルコジーUMPがどんどん右にシフトして、結果的に中道に寄ってきた社会党は、自らの行く末をSPDに重ね合わせた。

左派政党の中道化は(そしてこれが今のところの暫定的路線となっている)結局失敗する―これが支配的な雰囲気だろう。とりわけシュレーダーのようなカリスマがいない現執行部は危機感を強める。

他方で、欧州憲法草案に対する国民投票以来、左から動くことを頑なに拒んでいるファビウスは、自らの姿を左派党のラフォンテーヌに重ね合わせているかもしれない。もしかしたら、10年ぶりに訪れたフランス社会党社民主義化の契機をSPDがつぶす、ということになるかもしれない。

すべては11月の党大会で路線が決定するが、そこでキーパーソンとなるのは2002年大統領選敗北で公式的には「引退」したジョスパン元首相だ。もしポスト・シラクを狙う社会党リーダーが乱立したままで、党内左派に「鞍替え」したファビウス派が伸張すれば、混乱状況を唯一治めることができる救世主としてジョスパン待望論が高まるだろう。

昨年、パリでジョスパンに「政治から離れて寂しくはないですか?」と尋ねてみた。
「いや、テニスをしたり、読書をしたり、今の生活をエンジョイしているよ」という答えが返ってきた。

それでも、政治家であることに以上にエンジョイしているとは、今も僕は考えていない。